研究論文の結論の書き方:手順&その他

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Write by  Emily Watson
2025-08-13 18:51:31 3 min read

研究論文の結論は、多くの書き手にとって悩みの種となりがちですが、最も重要な部分の一つでもあります。

優れた結論は、単に研究結果をまとめるだけでなく、全体を統合し、研究課題を改めて提示し、その結果がどのように課題に答え、または取り組むかを示します。

このガイドでは、明確で効果的な結論を作成するためのステップを解説し、研究論文を明瞭かつ意図を持って締めくくる手助けをします。 

研究論文における結論とは?

結論は研究論文の最後の部分であり、主要なポイントをまとめ、論文の主張を補強し、読者に論文全体の締めくくりを感じさせる役割を果たします。結論では、論文で提示された情報を統合し、研究結果を考察し、今後の研究の方向性や研究の意義を示唆することが一般的です。読者に対して研究内容の重要性を改めて伝え、論文全体の印象を決定づける重要な機会となります。

結論の重要な要素:

  1. 論文の主張を再提示する:論文の主要な主張や研究課題を簡潔に読者に伝えます。

  2. 主要な研究結果を要約する:研究によって得られた最も重要な結果や発見を強調します。

  3. 研究の意義を考察する:研究結果がなぜ重要なのか、それが学術分野や社会にどのように貢献するのかを説明します。

  4. 今後の研究のための提案:まだ解明されていない疑問点や、より詳細な調査が期待される分野について言及します。

結論は、新たな情報を加えることなく論文全体をまとめ、明確かつ簡潔に記述する必要があります。論文の主要なポイントを強調し、読者に強く印象付けることが重要です。

研究論文における結論の種類

1. 要約型の結論

要約型の結論とは、新たな視点を加えることなく、論文の要点を改めて述べるものです。短い論文で、研究内容を最終的にまとめる際によく用いられます。
例:結論として、本研究では、産業からの排出や森林破壊といった大気汚染の主な原因を明確にし、再生可能エネルギーの導入や、より厳格な規制といった解決策の可能性について考察しました。

2. 考察型の結論

考察型の結論とは、研究結果を現実世界での応用や個人的な考察と結びつけるものです。人文科学や社会科学系の論文でよく見られます。
例:本研究の結果から、テクノロジーは教育の質を向上させる一方で、公平性に関する課題も生じることが示唆されました。この結果を踏まえ、教育者は多様な学習環境におけるテクノロジーの活用方法を検討する必要があります。

3. 行動喚起型の結論

行動喚起型の結論とは、研究結果に基づき、読者に対して具体的な行動を促すものです。説得や議論を目的とした論文でよく用いられます。
例:気候変動に関するエビデンスがますます増加している現状を踏まえ、地球温暖化の抑制と将来の世代を守るために、各国政府は炭素税の導入やグリーンテクノロジーへの投資を積極的に行うべきです。

4. 問題提起型の結論

問題提起型の結論とは、読者に対して、さらなる議論や研究を促すような、示唆に富む疑問や未解決の問題を提示するものです。議論を中心とした論文でよく用いられます。
例:本研究では、植物由来の食事が短期的に有益であることを明らかにしましたが、世界的に植物由来の食事へ移行した場合、農業や食料安全保障の将来にどのような影響を与えるのか、という疑問が残ります。

5. 今後の研究を示唆する結論

今後の研究を示唆する結論とは、今後の研究分野を示唆するものであり、研究中に明らかになった未解明な点や新たな疑問を指摘することが多くあります。科学論文や学術論文でよく見られます。
例:本研究は、睡眠が学業成績に与える影響について新たな知見を提供するものですが、睡眠の質がメンタルヘルスや全体的な幸福感にどのように影響するかについては、今後の研究による解明が期待されます。

研究論文における結論の書き方

1. 主張の再提示

研究論文の導入部とは異なるアプローチで、結論の冒頭で自身の主張を言い換えます。これにより、読者は論文の主要な議論を再認識し、その重要性が強調されます。

例:本研究では、ソーシャルメディアの利用が大学生の学業成績に与える影響を調査し、その負の側面と潜在的な利点の両面に焦点を当てています。

2. 主要なポイントの要約

論文の主張を裏付ける証拠や議論を中心に、研究における主要なポイントを簡潔にまとめます。結論部分では、新たな情報や議論の導入は避け、研究結果を支持するポイントを読者に再認識させることが重要です。

例:本論文では、ソーシャルメディアの過剰な利用が、時間の浪費や集中力の低下を招き、成績不振につながるという多くの研究結果を検証しました。一方で、LinkedInや教育系フォーラムといったプラットフォームは、専門的な人脈形成や学習リソースへのアクセスを促進し、学習効果を高める可能性も示されています。

3. 考察

研究結果がもたらす広範な影響について考察します。自身の研究が学術分野にどのように貢献し、既存の課題を解決し、または新たな疑問を提起するかを説明することで、論文の枠を超えた研究の意義を読者に理解してもらいます。

例:これらの結果は、教育者が学生のソーシャルメディア利用における両面性を認識する必要があることを示唆しています。大学は、ソーシャルメディア・リテラシー教育をカリキュラムに導入することで、学生がソーシャルメディアの利点を最大限に活用し、潜在的な悪影響を最小限に抑えるよう支援できます。

4. 提言

研究内容に応じて、実践的な応用、政策提言、今後の研究分野などを提案します。研究結果が社会に良い変化をもたらしたり、今後の研究を導いたりする可能性を示すことで、研究の価値を高めることができます。

例:大学は、効果的な時間管理術やデジタル・リテラシーを指導するワークショップの開催を推奨します。さらに、オンライン学習グループの設立や、教育系インフルエンサーとの連携を通じて、学生の積極的な学習参加を促すことが期待できます。

5. 結論

読者の心に残るような、力強い結びの言葉で論文を締めくくります。示唆に富む引用、行動喚起、または研究テーマに関する深い考察などを通じて、論文全体の印象を強めます。

例:大学がソーシャルメディアの建設的な利用を促進することで、その悪影響を軽減するだけでなく、学生の学習経験を豊かにし、より繋がりが強く、知識豊富な学術コミュニティを育成することが可能になります。

この例は学術論文を想定しており、結論の各要素は本文と論理的に繋がり、論文の主張を強化し、将来の研究や行動への展望を示唆しています。

研究論文の結論例

研究論文の結論について、簡潔で分かりやすい例を5つご紹介します。

トピック1:気候変動
結論として、提示された証拠から、人間の活動、特に化石燃料の消費と森林破壊が気候変動の主な原因であることが明確に示されています。将来の環境破壊を軽減するため、政策の変更や再生可能エネルギーの導入など、地球規模での迅速な対策が不可欠です。

トピック2:メンタルヘルスとソーシャルメディア
本研究では、ソーシャルメディアの過剰な利用と、10代の若者の不安や抑うつ傾向の増加に、強い関連性が見られました。この結果から、デジタルウェルビーイングのためのより効果的なプログラムと、若者がソーシャルメディアと適切に向き合うためのバランスの取れたアプローチが求められます。

トピック3:再生可能エネルギー導入
結論として、再生可能エネルギーへの移行は、環境面と経済面の両方でメリットをもたらします。しかし、初期コストの高さやインフラの制約といった課題も残されています。今後の研究では、再生可能エネルギーの普及に必要な、長期的な финансо적影響と技術的な進歩に焦点を当てるべきです。

トピック4:学業成績に対する運動の効果
総合的に見て、本研究は、定期的な運動が学生の認知機能と学業成績の向上に寄与するという仮説を支持するものです。学校は、学生の学力と健康全般の向上を目的に、日々の活動に運動を取り入れることを検討すべきでしょう。

トピック5:オンライン学習の効果
本論文では、適切なリソースと積極的な参加を促す戦略があれば、オンライン学習は従来の教室での学習と同等の効果を発揮しうると結論付けています。ただし、オンライン教育が学生のモチベーションや学習継続率に長期的に与える影響については、今後の研究で検証される必要があります。

研究論文の結論で避けるべき点

結論を書く際に注意すべき一般的な誤りは以下のとおりです。

  • 新しい情報を加えない – 結論では既存の内容を要約し、解釈するにとどめましょう。

  • 序論の繰り返し – 序論の内容をそのまま繰り返すのは避けましょう。

  • 曖昧になりすぎない – 明確かつ具体的な結論を示しましょう。

  • 唐突な終わり方 – 論文を唐突に終わらせず、結びの印象を与えましょう。

  • 根拠のない主張 – 研究で証明された範囲内で記述しましょう。

よくある質問

1. 結論の最初の文は何を書くべきですか?

最初の文では、論文の主要なポイントを要約しつつ、研究課題や問いを新たな視点から再提示することが重要です。

2. 研究論文の結論はどのように書けば良いですか?

以下の3つのステップで構成します。まず、研究課題を再提示し、次に主要な調査結果を要約し、最後に研究の意義について考察します。

3. 結論の良い例はありますか?

優れた結論は、論文全体の内容をまとめ上げ、研究の重要性を強調し、今後の研究の方向性を示唆します。上記の例をご参照ください。

4. 研究論文の結論で、新たな議論を展開しても良いですか?

いいえ、結論部分で新たな議論を持ち込むべきではありません。すでに述べた内容を要約し、解釈することに重点を置いてください。

5. 研究論文の結論には何を含めるべきですか?

結論には、研究課題の再提示、主要なポイントの要約、研究の意義、そして今後の研究の可能性を含める必要があります。

6. 研究論文の要約(Abstract)とは何ですか?

研究論文の要約(Abstract)は、通常150〜250語程度で研究内容を簡潔にまとめたものです。研究の目的、方法、主要な結果、結論を概説します。読者が論文の目的や重要性を素早く把握するのに役立ちます。

結論

良い研究論文の結論を書くためには、含めるべき重要な要素がいくつかあります。それは、問題の再提起、主要な発見の要約、そして実務、政策、研究に対する示唆です。これらの要素は、論文を有意義な形で締めくくり、読者に強い印象を与えつつ、研究の重要性を改めて認識させるのに役立ちます。結論は、明確、簡潔、そしてインパクトのあるものとし、最大限の効果を目指しましょう。